ノースブリティッシュ

ゴーギーの街でグレイニーナイト ノースブリティッシュ蒸留会社は、アンドリュー・アッシャー、ウィリアム・サンダーソン、ジョン・クラビーのような名だたるウイスキーブレンダーや、商人によるグループ会社によって協同に設立された。 これらの男性はDCLにグレーンウイスキーの供給を頼ることに嫌気がさしていた。 その独占に挑戦していたのである。しかし、皮肉なことに、現在ノースブリティッシュはDCLから大きく進化したディアジオ社の一部となっている。他の共同所有者はエドリントングループです。 グレーンウイスキーは19世紀中にはポットスチルで作られていたが、1827年にロバート・スタインによって発明され、1831年にイーニアス・コフィーによって改善されたパテントスチルの代等によって大きな進歩をもたらした。 コニャックのブドウ畑の荒廃（フィロキセラ）に伴い、ブレンデッドウイスキーが国際的な成功を収めていたため、グレーンウイスキーの需要は非常に高まっていた。 ノースブリティッシュの建設は1885年、エジンバラの都市部郊外にある未開発の工業用地にて始まった。 『宝島』などの著名な作家のロバート・ルイス・スティーブンソンの『誘拐されて』がちょうど出版されようとしていた。ちょうどその頃、彼にもゆかりのある“ホウズ・イン”の上部にある、フォースブリッジも建設中であった。 また町議会議員がプリンス・ストリート・ガーデンでの喫煙を許可することに同意した年でもある。 1886年にハート・オブ・ミドロシアン・フットボール・クラブ（Hearts）が近隣にタインカッスル・スタジアムを建てた。 Heartsとノースブリティッシュ蒸留所は、同じ栗色のユニフォーム（作業着）を共有しており、仕事中の従業員も上層階からしばしば試合を見ているという。 1887年には軌道の波に乗り、ノースブリティッシュはグレーン蒸留の最先端を代表して、最初の数年の間に、莫大な利益をもたらした。 必然的に、何年にもわたって拡大、革新、順応を繰り返し、まったく異なる現在の蒸留所にまで進化していった。 今では、それまでには一年かかったものを５週間で生み出すことができる。 毎日110トンの緑麦芽がバーウィックから到着する。 麦芽大麦はマッシュの約15％を構成し、デンプンを砂糖に変換するために必要なジアスターゼ、または酵素を提供する。 発酵の原料となるデンプンは、他の穀物よりも高価なトウモロコシに由来するが、ノースブリティッシュではそれがウイスキーに優れた特性を与えると考えられている。 緑麦芽をスラリー状の酵素に粉砕され、トウモロコシは加圧されて澱粉の粥にされる。 その2つを63度で行われるマッシングのために組み合わせ、得られたウォートは40器のウォッシュバックにてゆっくりと発酵させる。 この後の段階のプロセスはモルト蒸留所と大きく異なる。 高さ40フィートある3つのコフィースチルによって、連続的に蒸留され、1時間に1万リットルのアルコールを生産する。 この蒸留所はフル生産で毎秒10本ものウイスキーを作るという。 蒸留塔は、多孔板によって分離された積み重ねられた室からなる。 ウイスキーの品質を最良にするため、ノースブリティッシュのスチルの製造には相当量の銅が使用されている。 予熱されたウォッシュは、アナライザー塔をトリクルダウンし、上昇する低圧スチームと合流する。 このスチームはアルコールを蒸気として離昇し、その後精留塔で凝縮され蒸留塔の上部に約4分の3がスピリッツとして流れ出る。その結果として94.5％のスピリッツを安定して供給する。 この奇跡的な機器を操作するために本当に必要なのは、安定した水分と蒸気の供給である。 この蒸留所の特徴は、何も無駄にしないことだ。 ノースブリティッシュは発酵によって発生した二酸化炭素を回収する。 これはビールまたはソフトドリンク（ウイスキーとコーラの唯一の望ましい接点となる）に炭酸を加えるために販売される（1週間に回収されるCO2は455百万缶分のビールに入れることができるという）ノースブリティッシュではまた、1年に50,000トンのダークグレイン（動物飼料ペレット）を生産できる巨大な飼料工場がある。この蒸留所はエネルギー使用効率が高く、2001年に省エネルギー賞を受賞した。 こういった点からノースブリティッシュはいまだグレーンウイスキーの生産の最前線にあるといえるだろう。 しかし、町の中心に位置していることで、環境問題に対する配慮が必然的に生産コストに影響を与えているという。 最近では臭気軽減プラントに250,000ポンドを費やした。 そしてそれに要するスペースもまた規格外であった。 そのため、ノースブリティッシュは2002年にモルティングの施設を閉鎖し、熟成はほぼ郊外にて行われている。 土地の価格に対しての考慮は、開発の段階において、第一に考えておくべきであるかもしれない。 ノースブリティッシュの歴史は、スコットランドのウイスキー産業の歴史の中で小宇宙のような存在である。 19世紀後半のウイスキーブームによって出来上がった偽りのウイスキー市場は、景気循環、厳しい環境の制約の波に乗って崩壊の経緯をたどらされた。 ノースブリティッシュは私たちの時代まで生き残った成功の話であるが、未来がどういうものかは誰にもわからない。