花とウイスキー 本能を呼び覚ます香りの力(後編)

フラワーデザイナー秋貞美際さん

パークホテル東京、BAR The Societyのバーマネージャー南木氏がクリエイティブな職業に就かれている方にお仕事への情熱やソサエティウイスキーの楽しみ方をインタビューするシリーズ。

今回はフラワーデザイナーの秋貞美際さんを招いてお仕事やお花の事、お酒の楽しみ方等についてお話を伺いました。後編ではウイスキーとお花の共通点のひとつである香りにフォーカスを当てて、2つのさらなる魅力に迫ります。

記憶に残る香りの力

南木さん 人間て最初に口に入れる前に鼻で嗅ぐじゃないですか。最初の良し悪しの判断は正直ここが大事だと思っていて、見た目だけではわからない部分はありますよね。例えばお花なんて写真で見ても綺麗なんですが、お花畑に行って初めてこんな香りがするんだって分かる時もあるし、花屋さんの中に入った時の香りって、すごいですよね。あの匂いが嫌いな人は世の中にいないんじゃないかと思う。

秋貞さん お花は記憶を呼び戻す香りがしますよね。きっと香り全般が記憶の回路と結びついているからだと思う。お花をもらった時の思い出が、お酒を飲んだ時に繋がったらすごくいいですよね。

南木さん お花にたくさん囲まれて生活をしていた人がお花の香りをするウイスキーを飲んでフラッシュバックするかもしれないし、おばあちゃんが作った焼き菓子をよく食べていた人が、焼き菓子の香りがするウイスキーを飲んだ時に思い出したりとかして、必ずしもそこにお花畑がないと思い出せないというわけではないんですよね。

秋貞さん どんなにテクノロジーが発達しても、香りってその場を共有した人じゃないと伝わらないですよね。お酒やお花をプレゼントしたとして、その香りを二人だけが共有できるのは素敵だなって。

南木さん 面白いのが、例えばウイスキーを飲んだことがない人に匂いを嗅がせてみてもお花の香りがわかるんですよ。昔から世界中の人がお花のないところで生活はしていなかっただろうし、そういうことを考えると楽しいですね。

花もウイスキーも、変化の過程を楽しむ

―お花を作る時はどんなイメージでどのような点に注力していますか?

秋貞さん 私は蕾から楽しんでもらいたいと思っていて、青い香りだったのに花が咲き始めたら甘い香りを感じるようになって、そして朽ちていく、みたいなそういった変化する過程を大事にしています。それって一杯のウイスキーを飲む時と同じ愛で方な気がするんですよね。フレッシュに注がれた時は生命力に溢れていたけど、時間が経つとちょっと飲みやすくなってきた、みたいな。

南木さん まさにそうですね。今秋貞さんが飲んでいるお酒は、パッションフルーツやカカオを感じるお酒なんですけど、さきほど「ウイスキーの味が変わった」と実感されていたのと同じですね。僕は正直、今回のテーマ、花とウイスキーって難しいと思っていたけど、こうやって話すと香りや職業で共通するものはたくさんありますね。

秋貞さん 扱う側と選ぶ側の観点もそうですね。ものを選ぶって知識と情報がないと選べないから、その始めの一歩をどういう風に出してあげるかっていうのはすごく勉強になります。

自分のための“ご褒美”を日常に取り入れる

秋貞さん 今はモノの消費よりも自分が納得いく時間や体験をいかに過ごす傾向があって、私も記憶とか心が動くものに触れたいし、食事をしたりお酒を飲んだりしたいですね。フランス人は花を誰かのためだけでなく、自分のために買うんです。日本人が日常的に自分のために買うって、食べ物とか日常生活に直結するものが多いんじゃないかな。でも花やお酒、チョコレートとか、なくてもいいものを自分のご褒美にできるって、とても豊かだと思って。

南木さん 本当の意味での贅沢品ですよね。ソサエティのウイスキーもそう思って欲しいですね。ただガブガブ飲むんじゃなくて、一日の終わりに一杯飲めたら気持ちいいなぁっていうような一本の買い方をしてもらいたいです。また、ソサエティのウイスキーには1本1本に素敵なタイトルが付いているから、結婚のお祝いとかその人にふさわしいタイトルのボトルをプレゼントするのもおすすめです。

秋貞さん この前、友人に「たまには自分で自分のことを褒めるのは大事なことなんだよ」って言われて。そういうものがあったら、ご褒美じゃないけどいいですね。

南木さん 自分のための贅沢でいいと思います。無理しないで等身大でいいから、家にウイスキーやお花とか豊かにするための本当の意味での贅沢品っていうのを感じてもらえたら、もっと生活に寄り添えるんじゃないかと思いますね。

花もウイスキーも、ある程度の知識や経験のない人にとっては選ぶのが難しい。だからこそ、本能に訴えかける“香り”はその人の本質や嗜好を探る一番の近道なのかもしれませんね。様々な香りを楽しみながら、自分好みのアイテムを探してみてはいかがでしょうか。

―3月、BAR The Societyではお花とウイスキーの“香り”に注目

3月17日(火)から一週間、秋貞さんにソサエティウイスキーをイメージして装花いただいたお花の状態に合わせて、南木氏がぴったりのソサエティウイスキーをセレクトし、特別価格にてご提供します。その日限りの厳選した1杯を花の香りと共にお楽しみください。

*詳細に関しては、直接BAR The Societyまでお問合せください。

また、ウイスキーに馴染みのない方、バーに行ってみたいけれど怖くて行き損じている、等思っていらっしゃる方、是非この機会に南木氏を訪ねてみてください。

ホテルのフロントフロアにある開放的な空間で、気さくな南木氏が皆様の心の片隅にある、味わいたいお酒を引き出してくれる事でしょう。

ほんの少しの勇気を冒険に変えて、ご褒美のひと時をご自身にプレゼントしてみてはいかがでしょう。きっと新しい世界がその先に見えますよ。

◆秋貞美際さんのプロフィール。

麻布十番に店舗「migiwa -flower-」を構える他、雑誌、メディア等多方面で活躍されているフラワーデザイナー。

HP: http://migiwao.com

IG: @migiwa_flower

◆南木浩史さんのプロフィール。

パークホテル東京のバーマネジャー。ウイスキーのみならず、カクテル創作に長け、海外のバーテンダーとのコラボレーションや、海外バーでの活動など、第一線で活躍されているバーテンダー。

BAR The Society

TEL:03-6252-1111(ホテル代表)

東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー

営業時間:5:00 p.m ~ 11:00 p.m. フード10:00 p.m. L.O. / ドリンク10:30 p.m. L.O.

今回のインタビューで秋貞さんが愉しんだ一杯は;

「24.129 Meeting an old master / 巨匠との出会い」