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ウイスキーの可能性を探る

スコットランドは風光明媚な場所で、白塗りのパコダ屋根が輝く蒸留所が渓谷や島々の至る所にあり、ウイスキーに情熱のある人も、そうでもない旅行者の団体へも門戸を広げている。

その中には多くのスピリッツを製造する蒸留所や倉庫群もあるが、その多くは大衆に製造工程をお披露目する気持ちは持ち合わせていない。

この蒸留所もその一つである。ビジターセンターはなく、ウイスキー愛好家からは一風変わった複雑な要素をかみ合わせた蒸留所だと思われている。

しかし、私は特別なツアーで発見したように、もしあなたが、この蒸留所の堂々とした工業的な仮面をはぎとれば、魅力的な製造工程を見つけることが出来るでしょう。
我々は今回この蒸留所を視察する機会に恵まれた。

まずロケーションについて。ローモンド湖はスコットランドの最も象徴的な場所の1つで、英国で最大の水域をもち、絵に描いたような完璧な島々が点在している。登山者に愛されている山、ベンローモンドの圧倒的な存在に見守られ、その自然の美しさのために国立公園として指定された最初の場所でもある。

この蒸留所はこのような観光客に人気の土地にあるが、その存在は道沿いからは隠れていて、アレクサンドラ通りを引き返さないといけない。

見渡せる至る所に建物が点在している広大な敷地でスコット・ディクソンが我々を迎えてくれた。
彼は、2014年にロッホ・ローモンド・プロファイルの管理チームがExponent社のプライベート・エクイティー投資の後押しで、バロック家から蒸留所を買収し、形成されたマーケティング・マネジャーである。

彼は我々にこのグループがここに新しい蒸留器とウォッシュバックを新設したことを話してくれた。
また、このグループはエアシャーにあるグレン・カトリンのボトリングラインにも投資をしている。

蒸留所マネジャーのデリック・スミスからはこの蒸留所のユニークなセットアップについて説明を受けた。

「我々はここにモルトウイスキー製造用のポットスチルを4セットを持っています。別の建物にはグレーン用の蒸留所もあるので、我々には同じ敷地でモルトとグレーンウイスキーの両方を製造することが出来るため、自給自足で十分な製造が可能です」。
「我々はこの点においてスコットランドでは他に類を見ないでしょう。ブレンデッドを製造するために商品を探したり、相互取引をする必要はないのです」。

彼は2つの連続式コフィ―スチルを指し,「まさにこれがこの蒸留所らしいと言わざる得ない。グレーンを蒸留する代わりに、この蒸留器ではピーテッドとノンピートの両方の100%の大麦麦芽の麦汁をスチルに流し込んでいます」。
他の場所に1964年に建てられた際この蒸留所専用にデザインされた精留用のヘッドがあるストレートネックのポットスチルが2セットあり、伝統的なポットスチルをベースに上部に精留のヘッドがある。
2つの新しいストレート型のポットスチルが見えるドアを通り過ぎる前に、2つの伝統的なポットスチルが隣に見えた。

この蒸留所はまさに本物の蒸留所だ。彼らが考えている事がデザイン、蒸留器、彼らが生み出すスピリッツの複雑さに現れている。もちろん製造に関してだけ言える事ではなく、28ある熟成庫での熟成方法はスピリッツの生産方法と同じくらい多様だ。

熟成のマネジャーでマスター・ブレンダーでもあるマイケル・ヘンリ―はラック式とパネル式の熟成庫をいくつか見せてくれた。この敷地には約300,000の樽が熟成されている。

この蒸留所は自身でクーパリッジも所有しており、樽を洗浄し、修復し、リチャーを一貫して実施している。
「我々はシェリー樽も使用するが、カスクの約80%はex-bourbon樽です」と、マイケル。「我々はフレーバー・プロファイルを保ち続けるためにこのクーパリッジで正確に樽を回復させることができます」。

次に我々は実験室へと移動した。そこでは化学者のローナ・ブキャナンがニューメイクの分析をしており、我々はこの敷地で作られる数多くの様々なスピリッツを試す機会を得た。
ここでは、様々なアプローチの違いを見る事が出来、一つの敷地でウイスキーの異なるスタイルを作る魅力を体感できた。
ニューメイクのノージングとサンプリングは、独特の味わいの組み立ての中で、その範囲のプロファイルを明確に示している。我々は多くの蒸留所を訪問してきたが、これほどのところはかつてなかった。

この地域に訪れる観光客は、ここで自分たちが何を見過ごしているのかさえ気づく事はないであろう。

ぜひこの機会にこの蒸留所から生れだされたウイスキーの可能性を探る旅に出てみよう。
1月25日にリリースする、この蒸留所から誕生したシングルカスクはこちらから