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オーバン

ソサエティ初ボトリング 1995年
コロッセオの麓の知恵のある蒸留 オーバンの街を訪れると、どのようなアプローチで町に行っても感動させられる。 北部から伸びるA85は丘陵地帯の溝を通り、丘を下ると湾のある町が広がる。 鉄道で来ても同様に感動すること間違いない。 なぜなら、街の中央から進入した列車は海岸の直前で停車するからだ。 しかし、最良のアプローチは船で海を渡って来るか、北側に位置するドノリー城の中腹から入って来ることである。 町は半円形に広がっており、高台には円形劇場ヴィクトリアンヴィラが崖の上に鎮座し、小さなコロッセオのように見える。 この土地は西ハイランドの主要な中央市場であり、町の規模を把握することは重要となる。 マッカイグの巨大な建築物(コロッセオ)の崖は70フィートほどの高さで、そこから海岸までまっすぐ歩いて3分ほどで着く。 崖と海岸までの間には何軒かの店や通り、防潮堤、そして蒸留所がある。 蒸留所は、縞状鉄鋼状の大きな煙突が上に立つ熟成庫にも見える建物である。 別荘のような建物は灰色の花崗岩で作られ、地元に根付いていた建築様式に見てとれる。 窓や扉には塗装が施され、その機能を重視しているように見せており赤レンガの煙突には赤いペイントが施されている。 それは経済的、宗教的、地理的に見ても非常に都会派な蒸留所であるといえる。 もし湾をランプとすれば、その光は蒸留所であり、ケレラ島はその照明の焦点にある。 約2世紀前、蒸留所と町は、意欲的で野心家な起業家のスティーブンソン家によって設立された。現在の蒸留所は彼らの住居でもあった。 蒸留所は町に最大の雇用を産みだし、蒸留職員は地元労働の中でも貴族にあたった。 ウイスキーの仕込み水は、町の後ろにある丘の湖(ロッホ)から出ている。 ロッホは発音こそ簡単に出来るが、ゲール語の本来の表記法で綴ることはほとんど不可能である。 ライトリーピーテッドの麦芽は地元産ではなく、中央の精麦工場からトラックで運ばれる。 それがステンレス製のマッシュタンに浸され、4つの木製ウォッシュバックで発酵されるがその容器はウイスキーの樽と同様、クーパーによって作られ、もっぱら不浸水性に重要性をおいた桶板が使用され、その直径は20フィートにもなるという。 スティル・ハウスは非常に小さい。 ウォッシュスチルとスピリットスチルは、良質なバランスでゆっくり蒸留される。 両方ともスワンネックを持ち、スピリットスチルには壁に沿って面白い角度に曲がったラインパイプがワームコンデンサーにつながっている。 ステンレスタンクの長さを前後し走る一連の銅パイプを通過する際に、ワームと同じような働きをするのだ。 マネージャーでスチルマンのイアン・ウィリアムズ氏は、曲がったパイプと伸びたワームの影響が組み合わされて、非常に特徴的な留出物が出来上がると語る。 彼自身がもう一つの蒸留所の特性とされるだろう。 背が高いアバディーン出身の若者は、学校を辞めた直後からウイスキー業界に入り、1983年以降オーバンでマネージャーを務めている。 彼の蒸留所への全面的な献身と、彼が会社から得ている信頼の2つの事実がその証拠である。 とくに後者は十分に証明されている。イアンは、継続的なコストがかかるにもかかわらず、蒸留所のすべての特質が保持されるべきという彼の主張に、会社上層部の支援を得ることができているのだ。これは言及する価値があることである。 大規模な蒸留所のグループでは、しばしば英国産業のような典型的な短期主義を反映していると思われる行動に固執しがちだ。しかし、ウイスキー産業においては常に長い視点を持つべきである。生産と販売の間に10年を要する製品であることは普遍の事実である。 オーバン蒸留所の所有者であるユナイテッド・ディスティラリー社は蒸留所の個性が麦芽の性質に不可欠であることを十分に認識しており、長期間にわたって利益を犠牲にしてでも品質とアイデンティティの保持が優先されるべきとの認識をもっている。これは伝統と革新の両方を支える視点である。 マッシュハウスを再建する必要があるとき、イアンは伝統を守るように頼んだ。 自動化はされず、コンピューターもなく、経験豊富なマッシュマンの必要性を訴えた。これも正当に受理されたのである。 蒸留所ツアーの需要の高まりに応えようとしたとき、彼は古くなったフィリングルームを大盛況なビジターセンターに変えることに成功した。そこに飾られる、魚を食べる原始人の絵画は中石器時代からのテーブルマナーの進化を示しているがウイスキーの紹介に使用するには少しやりすぎとも言えるだろう。 それは別として、すべてがうまくおり来場者たちはその絵画さえ愛しているのだ。 もちろん彼らはオーバンのウイスキーも愛しているし、それにはちゃんと理由もある。それはオーバンが素晴らしいものであるからだ。 14年間リフィルの樽で熟成したかなりキャラクターの優れたドラムである。 ソサエティの観点から小言を言わせてもらうと、樽についてだろう。 これらは親会社の協力よって提供されている。 それらは質の高い熟成を確実にするために十分に選ばれているが、もちろん彼らの一貫性はソサエティが通常利用できる種類のバリエーションの範囲をほとんど残していない。 イアン・ウィリアムズは間違いなく、スピリッツの熟成のための最適なカスクを選んでいる。その確信に同意しないのは大変なことだ。 この樽に対しての希望はソサエティのメンバー自身が判断してほしい。 この当時、ソサエティのボトリングリストには、2つのオーバンの樽がある 1つは明る目の色をしたリフィルカスク、もう1つは非常にダークなファーストフィルシェリーカスクで、どちらも優れており、どちらもオフィシャルのボトリングとはかなり異なっている。 我々は彼の意見を聞くために両方のサンプルを彼に送った。 彼の蒸留所で行われることに関する保証は、彼自身の謙虚さによってバランスが取られている。これは普遍的な魅力を持つ特徴であり、UDのブランドの大使の一人としての彼のサービスが海外需要の要因であることは間違いない。 スコットランドの蒸留所の管理者は本物であり、日本やアメリカのような場所でも彼の来航に対する要求が急増している。 このような有名人が一番に海外に行くことは珍しいことではないが、イアン・ウィリアムズは海外に行く大部分の責務が免除されている。 彼はオーバン蒸留所のマネージャーとしてのみ自分の価値と真実性があると主張し、彼がいつも外国の土地でいるようであれば、彼はそれを主張することはできないと主張している。

1974
稼働中
Oban, PA34 5NH
ハイランド