Journey into wood ~カスクへの旅~

木の不思議
全ての人々、あるいは私たちの場合に限っては全てのメンバーの皆様を幸せにし続けることは不可能なミッションだ。しかし我々はそれが出来ればしたいと考えている。我々が出来る事は、幅広いレンジのウイスキーと、それを熟成させるための異なるカスク・タイプを使用することだ。

最近数えたところでは、ソサエティの熟成庫では138以上の蒸留所のウイスキーがある。また、65種類のカスク・タイプ、種の異なるオーク材、異なるレベルのトースティング、あるいは熟成前に使用されていたワインやスピリッツの様々な種類のカスクも存在する。我々にとっては終わりのない選択肢をもたらすことになるが、我々の情熱とメンバーの冒険に終わりはない。
カスク・タイプの事になると、どこにいっても情報を集める。そこにはスコットランドやフランスのクーパリッジ訪問も含まれ、同様にスペインのボデガやクーパリッジ、そしてヘレスでのシェリーカスクのシーズニングまでに及び、世界中を探検することになる。また、スコッチウイスキー研究所の一員として、ソサエティはその科学者の専門知識を集結させ、熟成とカスクの管理について彼らの研究から恩恵を受けることが出来た。  
もし、特定の蒸留所から多くの似たような樽、例えばex-bourbon hogshead (元々はバーボン樽として使用していたホグスヘッド樽)がソサエティに運ばれてくるとしたら、それらの一部を試してみることは理にかなっているだろう。例えば、シェリー樽やポートワインの樽に移し替えたり、あるいはそのままリフィルのホグスヘッド樽のままにしておくなど。これは、我々のストックを上手く管理し、選択肢と多様性を確実にメンバーに提供するための方法だ。
我々は、後熟をすることに関しては、細心の注意を払って管理している。カスクがもたらすウイスキーへの影響の判断においては、我々が求めるフレーバーの方向に進んでいることを確認するために、定期的にテイスティングを実施している。もちろん、最終的にはテイスティング・パネルの承認なしにボトリングされることはない。
~ Journey into wood ~カスクへの旅~
もしかするとこれを読んでいるあなたは、長年のメンバーかもしれません。他のカスクで追加熟成を実施することが、単なる最近の流行りと考えているのであれば、昔のボトルリストを思い出してほしい。1991年、我々はCask No. 39.7 に「実験 an experiment」というタイトルを付けました。これは12年間2nd fill  フィノ・カスクで熟成されていた原酒に、「本当に品質の高い、オロロソ・カスク」に2年間移し替えたものです。結果としてこれはメンバーに本当に良いウイスキーと評判を得ました。
確かにそれは実験であったかもしれません。しかし、Dr.ジム・スワンの指導の下、ソサエティはカスクの管理と追加熟成について1990年代に、適切に受け入れ始めました。当時、ソサエティのマネージング・ダイレクターであるリチャード・ゴードンは「ジムの仕事は画期的であり、新しく使用する樽のクオリティにおいて、彼の仕事は資産というべきものでした。我々はカスクを購入する際には、様々な熟成年数の後熟や、まだ熟成しきっていないウイスキーのために、主にシェリーやポートのカスクの購入機会を逃すことはありませんでした。」
「3年から5年熟成の若いウイスキーをテイスティングし、その後数年間でフレーバー・プロファイルの味わいを更に向上することが出来るようになりました。我々はすでに熟成年数の高いウイスキーをさらに1~2年間の熟成を与えるために様々なポートやシェリーのカスクを使用しました。これらの全てがメンバーに更なる関心を与え、優れたウイスキーをもたらすこととなったのです。」
このアプローチは何年にも渡って発展してきているものであり、現在はスピリッツ・マネジャーのユアン・キャンベルがソサエティの熟成庫でこれを管理している。スピリッツを運ぶことと同様に、彼はスコットランドのクーパリッジ、アメリカ、ポルトガル、スペインそしてフランスから空になったカスクも定期的に受け取っている。
ユアンはそれぞれのカスクの熟成度合いをテイスティングし、テイスティング・パネルに提示するためにサンプルを抜き出し、1つのカスクから別のカスクに移し替ることの恩恵を彼が決定している。彼は、ソサエティのボトリングの多様性と複雑さをメンバーが体験できるように追加熟成を見続けているのだ。
「多様性は我々が常に追求しているもので、熟成に対しては、私たちが更に追加を促すことで、味わいのもう一つの複雑さの層を与えることが出来るだろう。」 「もし100個のカスクが全て1st fill バーボンであるならば、我々はスパニッシュオークのペドロ・ヒメネスやオロロソ、マディラのいずれかに移し替えることをお勧めします。もちろん、我々は全てのカスクを異なるカスクで熟成させるつもりはないが、これは少しの差異を生み出す機会であり、メンバーは多くの選択肢を得る事になるでしょう。」   「私は、あなたがテイスティングするとすぐに何が上手くいっているのを見分けることができると思う。私は多くのウイスキーラバーが本能的に追加熟成に対し、上手くいっている特徴を捉えることが出来ると思っている。そこにあるトリックとは、やはり木を管理することを通じて、それぞれの特性がどのようなものであるかを知ることである。しかし、何が上手くいくかを知っていることと同様に、もしあなたが、上質のスピリッツと上質のカスクを手に入れたのであれば、大変面白い実験となるに違いない。しかし、かと言ってイメージしていた味わいとは似ても似つかないものになっているかもしれません。」  

様々なアイテムに見られるように、メンバーはまだどこでも見かけることのない、新たなものを見つけることが出来るだろう。たとえあなたがこの中から何を選んだとしても、カスクへの旅を楽しんで頂けると思っています。フレーバーを見出し、共有するため、ウイスキーの絶え間のない変化のために、ソサエティは変わらずに邁進していきます。