花とウイスキー 本能を呼び覚ます香りの力(前編)

フラワーデザイナー秋貞美際さん

パークホテル東京、BAR The Societyでは、バーマネジャーである南木氏がクリエイティブな職業に就かれている方をお迎えして、お仕事への情熱やソサエティウイスキーの楽しみ方をインタビューし、皆様にテーマにあったソサエティウイスキーと共にご案内して参ります。

第一弾の今回は、フラワーデザイナーの秋貞美際さんをお迎えし、お仕事やお花の事、お酒の楽しみ方やソサエティウイスキーとの共通点についてお話いただきました。その模様を前編・後編に分けてお伝えします。

 フラワーデザイナーへの道のり

―大手IT企業勤務からフラワーデザイナーに転身されたきっかけは何ですか?

秋貞さん 以前の職場ではお花を手配する機会が多かったのですが、なかなか満足のいくお店に出会えなくて、自分で勉強を始めたのがきっかけです。

―パリで修業されたと伺いましたが、お店はどうやって見つけたのですか?

秋貞さん 当初パリ行きは全く考えてなくて、まずは就職するために都内のお店をリストアップして一軒ずつリサーチしたのですが、あと一歩踏み出すことができなくて。私が心の底から素敵だと思えるお店で働くことが一番の近道だと思っていたので、ネットでの画像検索で自分の好きな花だけを集めてみたら全部同じ花屋さんのサイトで場所がパリだったんです。

―日本に帰ってきてすぐ独立されたのですか?

秋貞さん はい。帰国後の事で迷っていた時に、パリのオーナーから「既にパリで装花の仕事を受けていたんだから立派なプロフェッショナルだよ。日本に帰ったら誰かの屋根で働くのではなく、自分の城を構えなさい」と言われて、とにかく自分でやってみようと思って始めました。

自分の時間を有意義に過ごすアイテム

―普段はどんなシチュエーションでお酒を飲んでいますか?

秋貞さん 友達と楽しく過ごす時も多いですが、仕事が忙しくて一旦頭の整理をしたいなという時などに一人で飲んだりもします。

20代の頃は友達と楽しい時間を過ごすために飲んでいましたが、フランスに行ってからはお酒の存在も変わってきましたね。自分がどうありたいか、どう過ごしたいのか、明日に向けてこの夜の時間をどう過ごしたいのか、という「時間」を意識するようになると、むやみにお酒を飲むのではなく、自分のために、自分の時間を有意義にするためのアイテムとして飲むようになりました。

南木さん 上手な飲み方ですね。誰かと一緒に過ごすのもいいけど、やっぱり自分一人の時間も同じように大事で、お酒があるとその時間が有意義になる。

秋貞さん 逆に、お酒を提供している方はプライベートではどうですか?

南木さん 僕は家では飲まなくて、飲む時は誰かに作ってもらうか、飲みに行きますね。そうするとポジティブな方に意識を変えられて、次の日の活力になるんです。それがお酒とのいい付き合いだと思っています。

香りにフォーカス

―どんな時にウイスキーを飲みますか?

秋貞さん ウイスキーは頂くことはあっても、まだ自分で買う事はないですね。でもお友達のお家で出されたりすると、特別感があって幸せな気分になります。後は一緒に行く人がウイスキーに詳しかったり、バーテンダーの方が提案してくださる時かな。知らないと頼めないから、アドバイスをくれる人がいないとまだ選べない。

南木さん 僕らも同じで、お花をオーダーするって、多分初めて一人でバーに行くのと同じような気持ちなんでしょうね。

秋貞さん 私がお客様にお勧めする時は、色だけでなく香りにフォーカスしています。お花も想像するのは難しいから、香りを嗅いで比べて頂くんです。その方が直感的にわかりやすいし、「玄関に飾っておくと夕方家に帰った時に甘い香りが広がりますよ」とか具体的な提案をすると、メインの花が決まって、そこから広げられたりしますから。

南木さん 確かに視覚よりも嗅覚の方が、抽象的かもしれないけどそれ故に嘘がない。ウイスキーもお花もその方がいいかもしれないですね。

秋貞さん ウイスキーも同じように、難しい説明より樽の香りは強い方がいい、甘めがいい、みたいな香りの部分で分かりやすい方がありがたいですね。もちろん飲み口は大事だけど、そこまでわかるようになるには鍛錬を積まないといけないから。

南木さん 女性は特に直感が鋭いと思っていて、好きな香りが即決だったりするんですよ。ウイスキーの香りは女性こそ効果抜群だと思います。男性だと逆に迷っちゃう。女性にわかりやすいというのはすごくいいですね。

香りで好みを探る

秋貞さん ウイスキーは苦手だけど飲んでみたいという人にもお勧めしますか?

南木さん もちろんしますよ。ウイスキーにもお花の香りがするものもあるので、飲んだことのない人に「お花の匂いは好きですか?」って聞いたりします。

秋貞さん 何もわかっていない人がバーに来て、いろいろ聞いちゃってもいいのかな?

南木さん 全然大丈夫です。飲み方もハイボールで飲んだ方が美味しいウイスキーだってあるし、ストレートで飲まないといけないなんて決まりはありませんから。逆に僕らプロ側の意見として色がついてしまっていることもあるのかもしれないですしね。

ソサエティのウイスキーには12種類の味に色分けされた「フレーバープロファイル」があって、ここから好みのものを選んで頂き、さらに僕らが掘り下げていきます。どれが一番好きそうかなって。

秋貞さん わかりやすくするのは大事ですよね。お花もそう。男性が女性にお花を贈る時、彼女は何色が好きですか?て聞いても「いつもモノトーンの服しか着てない」なんて悩まれるんですけど、着ている服と好きな色は必ずしも一致している訳ではなくて、例えば小物とかに表れるんですよ。馴染みのないものを提案する時はそういった紐の解き方ってすごく大事ですね。

(後編に続く)

―3月、BAR The Societyではお花とウイスキーの“香り”に注目

3月17日(火)から一週間、秋貞さんにソサエティウイスキーをイメージして装花いただいたお花の状態に合わせて、南木氏がぴったりのソサエティウイスキーをセレクトし、特別価格にてご提供します。その日限りの厳選した1杯を花の香りと共にお楽しみください。

*詳細に関しては、直接BAR The Societyまでお問合せください。

また、ウイスキーに馴染みのない方、バーに行ってみたいけれど怖くて行き損じている、等思っていらっしゃる方、是非この機会に南木氏を訪ねてみてください。

ホテルのフロントフロアにある開放的な空間で、気さくな南木氏が皆様の心の片隅にある、味わいたいお酒を引き出してくれる事でしょう。

ほんの少しの勇気を冒険に変えて、ご褒美のひと時をご自身にプレゼントしてみてはいかがでしょう。きっと新しい世界がその先に見えますよ。

◆秋貞美際さんのプロフィール。

麻布十番に店舗「migiwa -flower-」を構える他、雑誌、メディア等多方面で活躍されているフラワーデザイナー。

HP: http://migiwao.com

IG: @migiwa_flower

◆南木浩史さんのプロフィール。

パークホテル東京のバーマネジャー。ウイスキーのみならず、カクテル創作に長け、海外のバーテンダーとのコラボレーションや、海外バーでの活動など、第一線で活躍されているバーテンダー。

BAR The Society

TEL:03-6252-1111(ホテル代表)

東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー

営業時間:5:00 p.m ~ 11:00 p.m. フード10:00 p.m. L.O. / ドリンク10:30 p.m. L.O.

今回のインタビューで秋貞さんが愉しんだ一杯;

「24.129 Meeting an old master / 巨匠との出会い」